初めてロードバイクを買おうと思っても、色んな種類が有りすぎてどれを買えば良いか分からないという方は多いと思います。
そんな方は、自分がどんな目的でロードバイクに乗りたいかを考えてみることが重要です。
現在ロードバイク3台を保有する私が、初心者の方にロードバイクの選び方のポイントやご予算について解説致します。
Contents
ロードバイクの選び方
ロードバイクと一言に言っても、100種類を超えるロードバイクが存在します。
そんな時は以下のステップで進めると、自分にピッタリあったロードバイクを選べます。
- 用途・目的を決める
- 予算を決める
- お店を探す
- 試乗する
- 購入する
用途、目的を決める
ロードバイクをどんな用途で使いたいでしょうか。それによってオススメできるバイクは変わります。まずは自分がどんな目的でロードバイクに乗りたいのかを考えてみましょう。
通勤・通学や街乗りに使いたい
片道15km以下の通勤・通学や、街中をブラブラと走りたいのなら、10万円程度のエントリーモデルで十分です。むしろあまり高いモデルを選ぶと駐輪中の盗難やイタズラが心配です。
この価格帯でもシティサイクル(ママチャリ)と性能は段違い!颯爽と走ることができますよ。
ツーリングに使いたい
ロードバイクなら100kmを越える長距離も走れてしまいます。そんな長距離のツーリングに使いたいなら、エンデュランス系やグランフォンド系などと呼ばれる、長距離向けのモデルを選ぶのが良いでしょう。
このモデルではレース向きのバイクに比べると前傾姿勢が緩くなっており、楽な姿勢で乗ることができます。また路面の振動を長時間受けていると疲れてくるので、振動吸収性が高いカーボンフレームを選ぶと疲れにくくなります。
ダイエットに使いたい
前の記事で書いたとおり、ダイエット方法としてロードバイクは優れています。
ダイエットに使うのにそれほど長距離を走らないのであれば、通勤・通学や街乗り用途と同じく、10万円程度のエントリーモデルで十分でしょう。ですが長時間続けて乗るほうがダイエットにはより効果的です。そんな場合はツーリングと同じく、長距離向けのモデルを選ぶと良いでしょう。
レースに出たい
タイム、距離を競うレースに出たいのであれば、レース向きのバイクを選んだほうが良いでしょう。
このタイプの場合、エントリーモデルやツーリング向きのバイクに比べ、風の抵抗を抑えスピードを出しやすいように前傾姿勢が深くなっています。また踏んだ力を逃さないよう、剛性が高いフレームが多くなっています。そのため初心者にはやや乗りにくいかもしれません。
ただしレースモデルだから長距離は走れないとか、逆にエンデュランスモデルだとレースには出られないということはありません。レースモデルはあくまでレース向きの設計になっているというだけです。
あまり決まっていない
初めてロードバイクを買う場合、乗る目的が明確に決まっていない人も多いでしょう。
そんな理由でロードバイクを買っても良いのです。
いくらこのロードバイクは性能が良いとか、コストパフォーマンスが高いとか言われても、自分が気に入らなければ愛着も乗るモチベーションも湧きません。
レースで1分1秒を争うのでも無い限り、少々の性能差は何とでもなります。自分が気に入るかどうかも重要なポイントです。
私のロードバイクの購入目的・理由
私が初めてのロードバイクの購入したのは以下の目的・理由でした。
- ダイエットや運動不足解消
- 週末のツーリング
- たまにレースも出たい
上記の理由から、長距離も走ることができ、レースにも出られるくらい反応性の良いものという、万能型かややレース寄りのモデルを探していました。
そんな中、これが良い!と思ったのがPINARELLO(ピナレロ)のFP QUATTRO Carbon(エフピー クアトロ カーボン)(シマノ 105 10S完成車)というモデルでした。
(PINARELLO / FP QUATTRO Carbon (2013年モデル))
当時のピナレロはONDAフォークという、うねったフォークのデザインが特徴でした。
この他社には無い独特で美しい曲線のデザインを見て「カッコいい!」と思ってこのモデルを選びました。
(ピナレロの最新モデルもONDAフォークという名前は付けられていますが、この頃のモデルに比べるとやや大人しいデザインになっています)
実際にこのクアトロでレースにも何度か出ていますし、一日約200kmを何度か走ったこともあります。
万能モデルなので、レースにもロングライドにも使えて非常に乗りやすいです。デザインも気に入っているおかげで、今も長く乗り続けられています。
予算を決める
ロードバイクと一言に言っても、安いものは10万円前後から、高いものは100万円を超えるものまで、その価格は非常に幅広くなっています。
そのため初心者の方は
と疑問に思うのも当然です。
ロードバイクは価格別に大きく以下のモデルに分かれます。
- 10~20万円程度のエントリーモデル
- 20~40万円程度のミドルグレードモデル
- 40万円以上のハイエンドモデル
この価格に大きく影響を及ぼすのがフレームの素材と、付属するコンポーネント(コンポ)のグレードです。
高級なモデルほど重量が軽い、剛性が高く力が逃げにくい、振動吸収性が高く長時間乗っても疲れにくいなど、性能が高くなっていきます。
このフレームの素材とコンポーネントについて、後ほど詳しく説明致します。
ちなみに、今まではシティサイクルにしか乗ったことのない方からすると、「自転車が10万円以上!?」と思うかもしれません。
10万円以下の値段のバイクもありますが、フレームが非常に重かったり、コンポーネントの精度があまり良くなく変速がスムーズにいかなかったりと言ったように、せっかくのロードバイクの快適性が失われていきます。
ロードバイクでは10万円前後が最低ラインだと思ってください。
フレームの素材
ロードバイクのフレームの多くはアルミかカーボンで作られています。
両者の大まかなメリット、デメリットは以下の通り。
■アルミ
- カーボンに比べると安価(コストパフォーマンスが良い)
- 少々ぶつけても大丈夫
- カーボンより重い
- 乗り心地が硬い
- 長時間乗ると疲れやすい
■カーボン
- 軽量
- 乗り心地が良い
- 長時間乗っても疲れにくい
- アルミより高価
- 割れやすい
必ずしもアルミだから硬い、カーボンだから疲れにくいというわけではなく、アルミやカーボンの種類によっても特性は変わりますが、大まかには上記の傾向があります。
10~20万円のエントリーモデルはアルミフレーム、20万円以上のミドルグレードモデルだと部分的、あるいは全部がカーボン製のものが多いです。
通勤・通学や街乗りなど、短距離しか乗らない場合は重量や乗り心地もさほど問題にはなりません。この場合は比較的安価で取り扱いもそこまで気を使わずに済むアルミフレームのモデルが良いでしょう。
ですがツーリングなど長距離を乗る場合は振動吸収性が高く、比較的疲れにくいカーボンフレームを選ぶのがオススメです。
ただしカーボンフレームは衝撃的な力に弱く、ぶつけたり倒したりしただけで割れてしまうことがあります。そのためアルミに比べると慎重な取り扱いが必要です。
コンポーネント
ロードバイクに付いているギア、ブレーキ、シフトレバー、クランクなどを総称して「コンポーネント」と言います。
このコンポーネントは明確にグレード付けがされており、上位グレードほど軽い、制動力が高い、精度が高く変速性が良いなど、高性能になりますが、値段も高くなっていきます。
コンポーネントとして最もシェアの高いメーカーは日本のSHIMANO(シマノ)です。SHIMANOのコンポーネントは上位から順に以下の通りとなっています。
- DURA-ACE(デュラエース)
- ULTEGRA(アルテグラ)
- 105(イチマルゴ)
- TIAGRA(ティアグラ)
- SORA(ソラ)
- CLARIS(クラリス)
ただしDURA-ACEやULTEGRAが付いたモデルはほぼ30万円を超えますので、最初の1台目は105以下を選ぶ方が多いでしょう。もちろん予算に余裕があれば上位グレードを選んでもなんら問題はありません。
通勤・通学や街乗りに使うのであればコンポーネントについてはそれほど気にする必要はありません。
一方、長距離のツーリングに使うのであればTIAGRA以上のもの、予算に余裕があれば105以上のものを選んだほうが良いでしょう。
個人的には、コンポーネントの中で一番重要なのはブレーキだと思います。ロードバイクは速く走るのが気持ち良いので、つい軽さや剛性を気にしがちです。
しかしプロの選手と違い、アマチュアの我々は怪我なく安全に家まで帰るのが何より重要です。制動力が小さいブレーキだと急ブレーキをかけてもなかなか止まれません。また長い下り坂を下るとき、常に強く握らないとブレーキが効かず、すぐに手が疲れたり痛くなります。
長距離のツーリングだと峠を超えて長い下り坂を下る場面も出てきます。そんな時、ブレーキが効かなければ命に関わります。握力に自信が無い方、特に女性の方はブレーキだけでも105以上が付いたのものを選ぶのがオススメです。
私は通勤ではTIAGRAが付いたモデルのロードバイクに乗っています。通勤ではアップダウンも無いのでこれで充分ですが、105以上に比べるとやはりブレーキの効きは弱いです。
峠越えなどの下り坂でも安心したいなら105以上はあったほうが良いと思います。
ちなみにコンポーネントは後で付け替えることも可能です。最初はSORAやTIAGRAが付いたモデルを買ったものの、もう少しブレーキの効きを良くしたいと思ったら、後でブレーキだけ105以上に付け替えるというのも手です。全てのコンポーネントを同じグレードで統一する必要はありません。
また最近ではディスクブレーキを搭載したモデルも増えてきました。特に油圧式のディスクブレーキはリムブレーキに比べ、軽い力で高い制動力が得られます。また雨天時も制動力が落ちにくいという特徴があります。
そのため連続してブレーキをかける下り坂でも有利です。また雨の日でも乗ることがある自転車通勤などで使う場合は安心ですね。
ただしリムブレーキに比べるとお値段は上がります。またリムブレーキモデルとディスクブレーキモデルではフレームやホイールが異なりますので、リムブレーキモデルを買って、あとでディスクブレーキに付け替えることはできません。
お店を探す
ロードバイクを購入するには大きく分けて2つの方法があります。
- 実店舗で購入
- ネット通販で購入
家電や服はネット通販で購入するという方は多いと思います。またネット通販のほうが安く購入できることが多いです。ですが初めてロードバイクを購入するなら実店舗、特にロードバイク専門店で購入することを強くオススメします。
シティサイクルとは異なり、ロードバイクは購入したあとも定期的なメンテナンスが必要になります。
例えばロードバイク購入後数百キロ走ると、変速用のシフトワイヤーが伸びてきます(初期伸びと言います)。これをそのままにしておくと変速がしにくくなるので、調整する必要があります。
私もロードバイクに乗り始めて間もない頃、この初期伸びで変速がうまく入らなくなったので、本やネットの情報を見ながら自分で調整してみることにしました。
ところが、いくら調整しても直るどころかどんどんズレていきます。
あれこれイジっているうち、最後は元に戻すことすらできなくなり、救いを求めてバイクを購入したお店に駆け込んでしまいました。
その他にもブレーキの調整やネジの緩みの確認など、お店のスタッフにしてもらったほうが良いことはたくさんあります。
またロードバイクは自分のカラダにあったサイズを選ばないと本来の性能が発揮できないばかりか、肩や腰などあちこちに負担がかかり、体を痛めてしまうこともあります。
サドルやハンドルなどの高さは後で調整ができますが、フレームサイズはあとで調整することができません。
そのため、実店舗でカラダのサイズをきちんと計測してもらい、自分にあったサイズのバイクを選んでもらったほうが良いです。
またお店を選ぶ場合、できればクラブチームや走行会があるお店を選ぶのがオススメです。
一人で走るより同じロードバイク仲間と一緒に走るほうが楽しいですし、走るモチベーションにも繋がります。
私が6年以上ロードバイクを続けられているのも、走行会を通じてショップの仲間と一緒に走れるのが大きいと思います。
またチーム員からオススメのコースや美味しいお店などを教えてもらうこともできますし、仕事や普段の生活とは異なる人と交流することもできます。
このように様々な交流ができるので、ショップにクラブチームや走行会があると、ロードバイクを楽しく続けられやすくなるのです。
試乗する
ロードバイクを購入する前に、ぜひ一度試乗をしてみることをオススメします。
ただし、普通のお店では試乗用のバイクを置いていないところも多いですし、あったとしても、自分の欲しいモデルがあるとは限りません。
数十万円もするロードバイクを試乗もせずに買うのは勇気が要るもの。
そこで大規模な試乗会を利用するのが良いでしょう。代表的な試乗会と開催時期は以下の通り。
- サイクルモードインターナショナル(幕張メッセ、毎年11月)
- サイクルモードライド大阪(毎年3月)
- 名古屋サイクルスポーツデイズ(旧名古屋サイクルトレンド)(2019年は4月)
上記の大規模試乗会であれば、メーカー各社が様々なモデルのバイクを試乗車として用意しています。実際に乗ってみて、ロードバイクの軽さや乗り心地を体験してみてはいかがでしょうか。
私もクアトロを買ったときは、事前にサイクルモードライド大阪で試乗して購入を決めました。またクアトロよりも上や下のグレードも試乗し、どんな風に乗り心地や操作性が違うのかも確認することができました。
大規模試乗会なら自分が欲しいと思うモデル自体が無くても、それに近い価格帯や性能のモデルが必ずあります。
またお店ではなかなか試乗できない高級モデルにも試乗できます。
色んなモデルを試乗してみて、納得した上で購入するのも良いと思います。
初心者におすすめのロードバイク
最後に、初心者にオススメのモデルをいくつかご紹介します。
GIANT / CONTEND 1
- 価格:98,000円
- 重量:9.8kg (500mmサイズ)
- フレーム素材:アルミ
- メインコンポーネント:SORA
- タイプ:エンデュランス
GIANT(ジャイアント)は台湾の自転車メーカーです。元々、欧米ブランドの下請けとしてフレームを製造していたため、高い技術力を持っています。現在は世界最大の自転車メーカーであり、高品質でコストパフォーマンスの高い自転車を製造しています。
このCONTEND 1はレース向けモデルとロングライドモデルを特性を併せ持つ、アルミフレームのエントリーモデルです。1台でスポーティでありながら快適性な走りができるでしょう。また他社でSORAのコンポを搭載したモデルだと10万円を超えるものが多いですが、このCONTEND 1は98,000円で、コストパフォーマンスも大変良くなっています。
街乗りやツーリングなど、ロードバイクのスピード感を体験してみたい方にオススメです。
Liv / LANGMA SL1
- 価格:165,000円
- 重量:8.9kg (430mmサイズ)
- フレーム素材:アルミ
- メインコンポーネント:105
- タイプ:レース
Liv(リブ)はGIANTが手がける女性向けのサイクルブランドです。
多くのロードバイクは体格が大きい欧州人をターゲットにしたものが多く、女性で身長が低い方には大き過ぎてサイズが無いこともあります。Livはそんな女性の方でも困らないよう、小さめのフレームサイズからラインナップがあります。
このLANGMA SL1はアルミフレームのレース系バイクでありながら、フロントフォークに振動吸収性のあるカーボンが採用されており、ロングライドでも乗りやすくなっています。またこの価格ながらブレーキを含めて105が使用されており、ダウンヒルでのブレーキングも安心です。
TREK / Emonda ALR 5
- 価格:179,000円
- 重量:8.8kg (56サイズ)
- フレーム素材:アルミ
- メインコンポーネント:105
- タイプ:オールラウンド
TREK(トレック)はアメリカに本社を置く世界トップクラスの自転車メーカーです。日本でも販売台数が多く、高い性能のロードバイクを生産しています。
TREKには大きく分けて「Madone(マドン)」、「Domane(ドマーネ)」、「Emonda(エモンダ)」の3系統のラインナップがありますが、Emonda ALR 5は軽量性が売りのアルミフレームのロードバイクです。その軽さのため特にヒルクライムに向きますが、オールラウンドな走りを求める方にオススメのバイクです。
PINARELLO / GAN
- 価格:298,000円
- 重量:-
- フレーム素材:カーボン
- メインコンポーネント:105
- タイプ:レース
PINARELLO(ピナレロ)はイタリアの自転車メーカーですが、各社の中でも特に高級感やオシャレなイメージのあるロードバイクを生産しています。一方で過去にツール・ド・フランスで何度も総合優勝を果たしたチームスカイに機材を提供するなど、高い性能を持ったフレームを製造するメーカーでもあります。
GANはフラグシップモデルの「DOGMA F8」をベースに、アマチュアサイクリストにも乗りやすいようテイストとカーボングレードを調整したミドルグレードのカーボンバイクです。
レーシーに走りつつ、質の高いデザインも楽しみたいという方にピッタリの一台でしょう。
まとめ
今回は初心者向けにロードバイクの選び方のポイントや予算についてご紹介しました。
無数にあるロードバイクですが、自分がどんな風に乗りたいか(用途・目的)、いくらくらいなら出せるか(予算)を自分なりに整理すると、自分に合うロードバイクが絞り込めてきます。
ただ、いくらこのロードバイクは性能が良いとか、コストパフォーマンスが高いとか言われても、自分が気に入らなければ愛着も乗るモチベーションも湧きません。
少々の性能差よりも、自分が気に入るかどうかでバイクを選ぶのが、長く乗り続けられるポイントだと思います。
最後に紹介したオススメモデルは数あるロードバイクのごく一部のものです。各メーカーがエントリー向け、ロングライド向け、レース向けなど幅広いモデルを作っていますので、自分が気に入ったブランドの中から好きなモデルを選ぶのも一つの手です。
この記事を参考に、皆さんが自分にピッタリのロードバイクを見つけられると幸いです。