vivomove Styleは日常生活にも運動にも使える便利でスタイリッシュなスマートウォッチです。
このvivomove Styleには、心拍データを対応機器に飛ばすことができる「心拍転送モード」という機能が付いており、対応するサイクルコンピューター(サイコン)に心拍数を表示させることができます。
ところがネットにはvivomove Styleを実際に使ったレビューが少なく、特にロードバイクの心拍計として使ったという記事は見当たりませんでした。
そこで今回の記事ではvivomove Styleとその他の心拍計を比較しつつ、ロードバイクの心拍計として本当に使えるのか検証・分析しました。
結論としては、現状では心拍転送モードにはバグがあるようで、正確な心拍数測定はNG。次回アップデートでの修正に期待!という結果になりました。
皆様の人柱となって少しはお役に立てたと思いますので、良かったら最後まで読んでくださいね!
- vivomove Styleがロードバイクの心拍計として使えるか知りたい人
- 心拍転送モード中も時刻を表示できる心拍計を探している人
Contents
そもそもなぜvivomove Styleをロードバイクで使おうと思ったか
これまで私がロードバイク用に使用してきたディバイスに対する不満、それは時刻を見るのが手間だったこと!
え?うそやん?と思うかもしれませんが、これまで使用していた胸ベルト式の心拍計は胸に圧迫感があるし、そもそも時刻がわからない。
腕時計タイプのvivosmart HR Jは心拍転送モードの時は時刻が見えないし、一旦時計モードに切り替えて元に戻すのを忘れると心拍が取れていないという面倒くさい仕様でした。(すべてGarmin純正なんですけどね!)
そこで見かけたvivomove Styleの下記特徴はこれまで私が抱いていた小さな不満にグッサリ刺さったのです。
- 心拍数をサイコンに表示できる
- 心拍転送モード中も時刻を表示できる
ではでは、詳しく解説していきましょう。
心拍数をサイコンに表示できる
そもそも心拍計の機能が付いたスマートウォッチなら、単体でも心拍数を確認することはできますが、片手走行&よそ見が多くなるのは安全面から避けたいところ。
その点、vivomove Styleには「心拍転送モード」という機能が付いているため、GarminのEdgeシリーズ(Edge 530, Edge 830、・・・)など、ANT+に対応するサイクルコンピューター(サイコン)に心拍数を表示させることができます。
つまり心拍転送モードがあれば、サイコン上でスピードやケイデンスなどと一緒に心拍数を確認できるので、スマートウォッチ単体で利用するよりも安全で便利なわけですね。
心拍転送モード中も時刻を表示できる
以前の記事でもお伝えしましたが、心拍転送モードの機能がついた時計の中には、そのモード中に時刻を表示できなくなるものもあります。
私がこれまでロードバイクの心拍計として使っていたGarminのvivosmart HR J(スマートウォッチ)もそうでした。
サイコンに心拍数を表示してるのに、お前も心拍数を表示せんでええやろ
その点、vivomove Styleは心拍転送モード中もアナログ針が時刻を表示し続けてくれます。周りが暗い場合は腕を動かすか画面をダブルタップすればデジタル時刻も表示してくれます。
このおかげで、コンビニ休憩などで一時的にロードバイクを離れるときや、サイコンに地図を表示しているときでも時刻を確認することができるようになりました。
vivomove Styleはロードバイク用の心拍計として使えるのか、テストしてみた
上記のように心拍計としても時計としても十分な機能を持つvivomove Styleですが、気になるのはその精度ですよね。
そこで他の2種類の心拍計と同時に使用し、測定値を比較してみました。
ロードバイクでの測定
心拍数測定テストのため、以下の機材や条件で測定を行いました。
使用機材
- 心拍計
- vivomove Style
- vivosmart HR J
- 胸ベルト心拍計(Edge 510J付属のもの)
- サイコン
- Edge 510J
- Edge 520J
測定に使用した機材(左からEdge 510J、vivomove Style、胸ベルト式心拍計、vivosmart HR J、Edge 520J)
vivomove Styleとvivosmart HR Jは以下のGarminのガイドラインに従い、肌に密着させて測定しました。
可能な限り精度を高めるため、以下のガイドラインに従ってください。
- 光学式心拍計は必ず常に肌に接触している必要がある
- デバイスが手首にぴったりと装着され上下に動かない
- ウォッチがゆるすぎると手首を滑って、肌と光学式心拍計の間に隙間ができる
- 血液循環が困難になるほどきつく締めない
- 正確に着用すると、ウォッチを動かすと下の肌が軽く引っ張られるようになる
(Garmin サポートセンターより引用)
また心拍測定モード時の転送先として、サイコンのEdge 510JとEdge 520Jを使用。
本当は3つの心拍計全てを心拍転送モードにして測定したかったのですが、ペアリングできる機器がEdge 510Jと520Jの2つしか無かったため、条件を書き2つにして測定しました。
測定条件
測定モードが測定値に影響するのか確認するため、表のようにvivomove Style、vivosmart HR Jをそれぞれ「アクティビティ」、「心拍転送モード」にして測定しました。
vivomove Styleを条件1では「心拍転送」に、条件2では「アクティビティ(バイク)」にして測定。
vivosmart HR Jは「バイク」のアクティビティを登録することができないため、有酸素運動をするときに使う「カーディオ」を使いました。
ちなみに心拍転送モードにしているときはvivomove Styleとvivosmart HR JはEdge 520Jと、胸ベルト式心拍計はEdge 510Jとペアリングして測定しました。
運動方法
条件1と2で測定条件をなるべく揃えるため固定式ローラー台を使い、下記メニューで測定しました。
- 固定式ローラー台を使用(負荷は固定)
- 測定時間:5分間
- 0-3分 ウォーミングアップ
- 3-4分 スプリント
- 4-5分 クールダウン
測定結果
条件1: vivomove Styleを心拍転送モードにして測定
グラフ1:vivomove Styleを心拍転送モードにして測定したときの心拍数の推移
なんじゃこりゃ!
グラフ1はvivomove Styleを「心拍転送モード」にした計測したものです。
vivosmart HR Jと胸ベルト式心拍計は多少のブレはあるものの近い心拍数で推移していますが、vivomove Style(青線)だけまるで平常心。
心拍計の付け方を確認して再測定もしましたが、結局vivomove Styleは心拍転送モードだと心拍数をうまく測定できませんでした。
まさ不良品では?と思いながら条件2でテストしてみました。
条件2: vivomove Styleをアクティビティにして測定
グラフ2:vivomove Styleをアクティビティ(バイク)にして測定したときの心拍数の推移
グラフ2はvivomove Styleをアクティビティ(バイク)にして計測したものです。
おー!良かった。ちゃんと測定できてる。
どうやら不良品では無かったようです。
先ほどの心拍転送モードと異なり、vivomove Styleは胸ベルト式心拍計に近い心拍数の推移を示しています。vivomove Styleはアクティビティ(バイク)では、正しく心拍数を測定できていると言えます。
じゃあおかしいのはvivomove Styleの心拍転送モードなのか?
1例だけでは【心拍転送モード = ダメ】とも言い切れないので、ロードバイクとは動作の異なるランニングでの測定もしてみました。
ランニングでの測定
ランニングでは以下の条件や運動方法で測定を行いました。
測定条件
心拍測定モードはロードバイクの条件1と同じです。
運動方法
- 道路を普通にランニング
- 測定時間:5分間(時々ダッシュ)
測定結果
グラフ3:ランニングでvivomove Styleを心拍転送モードにして測定したときの心拍数の推移
グラフ3はランニングで、vivomove Styleを心拍転送モードにして測定したものです。
うーん、やっぱりダメ!
条件1のロードバイク(ローラー台)の時と同様、vivomove Styleはランニングであっても心拍転送モードでは心拍数をうまく測定できないようですね。
アクティビティモードではきちんと測定できるので、機器の不具合というより、ソフトウェア上のバグなのかもしれません。
Garminに不具合を報告 →アップデートで修正予定?
これまでの内容をGarminに問い合わせたところ、以下の回答を頂きました。
心拍転送でのデータエラーにつきまして、
米国側の担当側にてソフトウェア改修でございます。 使用上ご不便ではございますが、
今しばらくお待ちくださいますようお願い致します。
とりあえず改修はしてもらえるようなので、ホッとしました。
一瞬「無駄な買い物になったか」と思いましたが、心拍転送モードの不具合はいずれ対応してもらえそうです。修正時期は未定のようですが、気長に待つしかないですね。
アップデートされた暁にはまたこの記事を更新しますね!
その他、ロードバイク用として使う際に気になるところ
vivomove Styleは残念ながら心拍転送モードではうまく心拍数を測定できないことが判明してしまいましたが、それ以外にこれまで使ってきて分かったことをまとめておきます。
心拍転送モード中もバッテリーの持ちは良い
心拍転送モード時のバッテリーの減りは1時間に2%程度。通常モード(1時間に0.9%程度)に比べれば減りは早くなりますが、一日中走っても充分バッテリーが持ちます。これならロングライドやイベントに参加するときでも安心ですね。
GPSは付いていないが問題なし
vivomove StyleにはGPSは付いていません。ですがスマホと接続してGPSを利用することができます。接続も数秒で終わります。
そもそもサイコンにGPSが付いている場合そちらを利用すれば良いので、バッテリー消費が増えるGPSはvivomove Styleに付いていなくても全く問題はないですね。
心拍転送モードの切替には操作が大変
心拍転送モードに切り替えるためには以下の操作が必要になります。
- ダブルタップか腕を振り上げ、画面を表示
- 画面をロングタップ
- 心拍関連をタップ
- 心拍転送モードをタップ
心拍転送モードはかなり階層の深いところにあり、辿り着くまでに何回か操作が必要なんですよね。もう少し浅い階層にするか、簡単に心拍転送モードに切り替えられるようにして欲しいところです。
ナイロンベルトは伸びない
冒頭で書いた通り、腕時計型心拍計で心拍数を正しく測定するためには、バンドを手首にしっかりと締める必要があります。
ところが、vivomove Styleに標準で付属するナイロンベルトは引っ張ってもほとんど伸びません。そのためしっかり締めると少し締め付け感があります。
またナイロンベルトは汗を吸うため、夏場は匂いが気になりそうです。
運動など、心拍数測定をメインにするのならベルトはシリコン製の物に交換するのをオススメします。
私は以下のものを購入しました。
これならベルトが伸びるので、しっかり締めても手首に圧迫感がありません。
ちなみに、Garmin Connectに保存されたデータは以下の記事を参考に、CSVファイルに変換し比較しました。ご興味のある方はぜひご確認ください。
まとめ
今回はvivomove Styleを購入し、ロードバイクの心拍計として使えるのかテストしてみました。しかし残念ながら「心拍転送モード」では今のところまともに計測できないようです。
ですので今のところ、サイコン用の心拍計としてvivomove Styleを購入することはオススメしません。
ただGarminはアップデートで対応してくれると言ってくれているので、いずれきちんと計測できるようになるでしょう。気長に待って、アップデートが来たらまた記事を更新しますね。